
こんにちは、Madoriです。
先日(2023年1月13日)、東京・上野の森美術館で開催されている兵馬俑(へいばよう)展『兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産〜』に行ってきました。
この兵馬俑展は、以下の4都市開催で、東京以外は既に終了しています。
2022〜2023年 兵馬俑展
- 名古屋市博物館
2022年9月10日(土)~11月6日(日) - 静岡県立美術館
2022年6月18日(土)~8月28日(日) - 京都市京セラ美術館
2022年3月25日(金)~5月22日(日) - 上野の森美術館
2022年11月22日(火)~2023年2月5日(日)
今回は、実際に訪れた兵馬俑展の様子や、古代・春秋戦国時代の中華を統一した「秦」という国のありようを写し出す壮大な遺跡「兵馬俑」について記すとともに、天下統一を成し遂げた始皇帝を描いた作品などを紹介していきたいと思います。



多くの人を魅了し続けている漫画『キングダム』についても少しふれています。
- 兵馬俑とは何か?
- 兵馬俑と古代中国展の様子や混雑状況など
- 始皇帝の秦王朝を描いた映像作品の紹介
それでは、さっそく紹介していきましょう。
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兵馬俑とは?


「兵馬俑」がこの世で発見されたのは、1974年3月のこと。
中国の陕西省西安市臨潼区で井戸を掘っていた地元の農民が陶器のかけらを発見し、その後発掘調査により、兵士や馬などの姿をした等身大の陶俑(とうよう)が多数掘り出されました。
そして、それらが「兵馬俑」と名づけられたそうです。
人形 (ひとがた)を意味し、死者を葬るときに殉死者のかわりに副葬する人形のこと。
兵馬俑の数は3つの坑で約8,000体あると推定されており、現在は1,600体ほどが発掘されていますが、まだ発掘作業は終わっていないとのこと。
兵馬俑のある場所はこちらです。
兵馬俑と古代中国展の様子


ここからは、このたび訪れた『兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産〜』の様子を写真メインで紹介していきます。
この展示会場では、先に漢の時代(2階)の遺産を見学し、最後に今回のメインとなる秦の時代(1階)の遺産を見学するという順路になっておりました。
写真撮影可能なのは1階展示室(秦の時代)のみ。
秦の時代のコーナーでは、2箇所で2〜3分の兵馬俑に関する映像を観ることができ、よりリアルに学ぶことができます。
2階展示室は撮影不可のためご紹介できないのが残念ですが、「項羽と劉邦」の劉邦や武帝で知られる漢の時代にも兵馬俑のような陶俑が存在していました。
しかし、その大きさはかなり小さく、いずれも高さは50〜60cmほど。造形も素朴で、装束や顔の骨格、表情などをリアルに再現した秦の兵馬俑とは、かなり対照的でした。
ミニチュアの陶俑を見た後に等身大の秦時代の兵馬俑を見学したため、よりその大きさ、細やかさが際立っておりました。



等身大の兵馬俑は、本当に圧巻だったね!



それだけに、写真撮影OKなのが嬉しかったよね!
それでは、ここから秦の始皇帝の時代にタイムスリップしていきましょう!
- 日本初公開の希少な将軍俑の1体
- 1体1体異なる兵士の姿や表情
- キングダムのパネル展示コーナー
下の図は、中国にある兵馬俑坑を表したものです。


来日した兵馬俑は、図の1号坑と2号坑から出土されたものです。
- 1号坑:歩兵と戦車からなる本隊
- 2号坑:機動部隊
3号坑は、わずか68体の俑で構成された最小の坑で、4号坑は何も埋まっておらず、未完成の坑だったと思われているようです。
馬車の複製


秦の時代の展示コーナーに入ってすぐに迎えられたのが、こちらの馬車の複製です。
始皇帝を主人公とした中国ドラマに出てくる馬車そのもので、複製とはいえ素直に感動しました。
複製はガラスケースで覆われていないため、隅々までじっくりと観察ができます。


これだけでも見にきた甲斐があったというものですが、注目はここからです!
兵馬俑1号坑の将軍


この兵馬俑展のいちばんの注目が、こちらの将軍俑です。



始皇帝の時代の将軍といえば、真っ先に王翦を思い出すね。



王翦は、白起・廉頗・李牧と並ぶ戦国四大名将の一人だからね。
- 王翦:秦
- 白起:秦
- 廉頗:趙
- 李牧:趙
王翦と白起は絶対負けないマンです!
兵馬俑坑から現在までに発見された将軍俑11体のうちの貴重な1体で、身長(高さ)は196cmと、かなり大きく迫力がありました。


右手に剣を持っているように見えますが、将軍は身分の高い武人のため、鎧は着用していなかったのでしょうね。


写真ではわかりづらいかもしれませんが、正面の上着に孔雀石の緑色が微かに見ることができます。
横からも見てみましょう。総大将としての威厳に満ちあふれていますね!


右頬や耳に白地に肌色を重ね塗りした色彩がわずかに残っているようです。
兵馬俑1号坑の兵馬


ここからは、兵馬俑1号坑で出土された兵馬を紹介いたします。
1号坑には先に紹介した将軍俑があるように、東西230m、南北62mという最大の規模を誇り、約6,000体もの俑が存在すると推測されています。
こちらは戦車馬の1頭です。等身大のこの陶俑は、頭、頸、腹、臀部を細かく分断してから接合して作ったようです。


ここからは、兵士の俑です。この「鎧甲軍吏俑(がいこうぐんりよう)」は、鎧を着用した下級軍官のこと。


右手には長柄の武器を持ち、左手は剣を掲げているものと思われます。
こちらは別の俑ですが、上と同じく「鎧甲軍吏俑」です。


これまた写真ではわかりづらいですが、顔に顔料が残っているようです。


こちらは、一般兵士の「鎧甲武士俑(がいこうぶしよう)」です。


表情や姿勢からみて、若い兵士だと思われます。


こちらは、詳細はわかりませんが、おそらく真っ直ぐに立っているので1号坑から出土した兵馬俑だと思い、こちらに載せました。


兵馬俑2号坑の兵士


ここからは、兵馬俑2号坑から出土された兵馬俑の紹介です。
2号坑は東西96m、南北84mで、弩兵(どへい)集団が配置されており、跪射俑(きしゃよう)が複数発見されているようです。
こちらが「跪射武士俑(きしゃぶしよう)」で、左足を立てて右膝を地に着け、武器を持って待機する姿勢をとっています。
右手は引き金部分に指をかけているように見えますね。


こちらは、「鎧甲騎兵俑(がいこうきへいよう)」で、左手で長柄の武器を立てて、右手で馬の手綱を引いているようです。
鎧も特徴的で、乗馬に支障がないように腹部の途中で切れています。腕を動かしやすいように肩部分にもありません。


こちらは、「構え」の姿勢をとっている「立射武士俑(りっしゃぶしよう)」で、兵士俑の中では最も躍動感があります。


左手に弓を、右手に矢を持ち、弓をひく準備をしているようです。


兵馬俑の紹介は以上になります。
1体1体の表情や髪型、姿勢などが異なり、個性豊かであるところが、見ていていちばん興味深く楽しかったです。
兵馬俑と古代中国の関連年表


古代中国の関連年表も展示していました。
秦の始皇帝が天下(中華)を統一したのは紀元前221年のことです。
紀元前770年〜前87年まで
- 春秋時代
- 戦国時代
- 統一秦
- 前漢
中国のこの時代は、日本でいうと弥生時代(北海道は続縄文時代)にあたります。
日本がそのような時代に秦と漢という王朝があったことを考えると、改めて中国の歴史の長さを実感します。



「中国4000年の歴史」といいますからね。
大人気漫画「キングダム」とのコラボレーション


春秋戦国時代の秦王朝を原 泰久さんが描いた大人気漫画「キングダム」とのコラボレーションということで、漫画のパネル展示コーナーが設けられていました。
漫画に登場する歴史上の人物と、兵馬俑展の出品物を照らし合わせることで、古代中国への興味がよりいっそう深まったような気がします。



キングダムファンにはたまらないでしょうね!
ただし、この漫画・・・気になるのが、2006年にスタートしてから16年も連載していて、まだ一国も滅びていないということ。
調べてみたところ、最新巻が67巻。これに対して、「いつになったら秦が天下統一できるのか!?」と、騒がれてもいるようです。笑


兵馬俑のプロジェクションマッピング






兵馬俑展のクライマックスは、この兵士のプロジェクションマッピングです。
動画でお見せできないのが残念ですが、①②③の順に変化していきます。
兵馬俑と記念撮影


楽しみにしていた兵馬俑とも、そろそろお別れです。
出口には、このように兵馬俑の複製がずらりと並び、一緒に写真撮影ができるようになっていました。
私たちも記念に撮ってみました!







兵馬俑展、想像していたより面白くて来た甲斐があったね!



うん、本当に。本場中国の兵馬俑にも行きたくなっちゃった!
チケットと混雑状況
- 一般:2,100円
- 高校・専門・大学生:1,300円
- 小・中学生:900円
混雑状況につきましては、私たちは平日(金)の午後(14:30〜)に訪れたのですが、特に混み合っているという感じではありませんでした。
チケットの事前予約で30分区切りに入場が制限されているため、密になる不安もありません。
注目の将軍俑の前でも、特に並ぶことはなく観覧ができ、写真撮影もスムーズに行えました。
図録・書籍・グッズ


さいごに、図録やグッズを販売している売店に立ち寄り、本を1冊購入しました。
始皇帝に関する書籍は4冊あり悩みましたが、パラパラめくって読みやすそうな「親説 始皇帝学」を選びました。


著者は、今回の兵馬俑展監修者でもある、鶴間 和幸さん。
読みやすくわかりやすいうえに、内容もとても面白く、スラスラ読みすすめることができるのも、この本の良さだと思いました。
特に、中国史に興味を持ちはじめた方や、キングダムファンの方、必見です!
春秋戦国時代の秦王朝を描いた映像作品


兵馬俑展にこれから行く予定の方、すでに行った方、中国史に興味がある方にもおすすめの、春秋戦国時代の秦王朝を描いた映像作品をここで紹介させていただきます。
私たちが観た作品のなかで、特におすすめの2つを挙げてみました。
ドラマ:始皇帝 天下統一
1つ目は、始皇帝 天下統一(原題「大秦賦」)です。
秦の始皇帝の生涯と魅力を最も忠実に壮大に描いた、中国版「キングダム」で、徹底的な時代考証をもとに秦の最盛期を絢爛豪華に再現しています。
- 構想4年・撮影期間235日
- 総製作費:165億円
- 総再生数:160億回
- 中国時代劇ドラマ人気ランキング第1位
- 中国屈指の実力派キャストが集結
- (チャン・ルーイーやドアン・イーホンなど)
総製作費は、中国ドラマ史上最高額となるそうです。
また、ドラマに登場する兵士たちが、まるで兵馬俑が動いているように、装束や髪型まで忠実に再現されています。
「人民中国雑誌社」のツイートに写真が載っていたので、こちらにも置いておきます。
中央テレビドラマチャンネルCCTV8で放映中の歴史ドラマ『大秦帝国』シリーズ4の『大秦賦』では、兵馬俑をもとに、秦の将兵の衣服と武器を忠実に再現している。秦の始皇帝嬴政が重臣の呂不韋、李斯、王翦などを補佐に六国を滅ぼし、天下統一するストーリー。(編集C)#大秦賦 #兵馬俑 pic.twitter.com/yAn7esT5ai
— 人民中国雑誌社 (@PeopleChina) December 17, 2020
兵士以外にも、秦王・嬴政の母、趙姫の美しさ、古代メイクも必見。
もちろん、秦王・嬴政の装束や佇まいも見応えがあります!
私のなかで、中国歴史ドラマのNo.1といったら「三国志 Three Kingdoms」でしたが、それを上回ったかもしれません。



おそるべし、中国版キングダム。



これは、神ドラマと言っても過言ではありません。
2022年12月7日には、DVD-BOXもリリースされました。


映画:キングダム


2つ目は、日本の実写版「キングダム」。漫画「キングダム」が空前の発行部数を記録し、それに続く映画シリーズも大ヒットしましたね。
秦王・嬴政役の吉沢亮さんがとても美しく、たいへん目の保養になりました。
続編の映画も公開されるようです!
まとめ
今回は、兵馬俑展と、始皇帝にまつわるいろいろを書いてみました。
本記事を読んで、兵馬俑や秦、始皇帝について、より興味を持っていただけたなら嬉しいです。



最後まで読んでいただきありがとうございました。